SOCCER&FUTSAL

日本サッカー協会
「12歳以下の子ども達のサッカーにおける指針」
 
 2002年、日本でワールドカップが開催されました。日本中で多くの子ども達がサッカーに出会い、興奮し、感動し、憧れを持ち、そしてワールドカップへの大きな夢を抱いています。子ども達がサッカーの熱狂的な世界への扉を開いているのです。今が、日本のサッカーをより発展させる、大きなチャンスなのです。大きなモティベーションを得た子ども達に、モティベーションに見合った環境をオーガナイズし、その達成意欲を満たしてあげることは、我々の指名です。
 しかし、大人と同じルールやシステムで子どもの発育・発達を考えずに環境を提供することは、サッカーに出会った子ども達がサッカーに背を向ける結果に繫がるかもしれません。子ども達には子ども達に適した形態でのサッカーを提供することが必要です。 サッカーは必ずしも「フルコート」で11人ずつでなければできないものではありません。ボール、ゴール、人数、ピッチの広さ等を変えることで、サッカーは必要に応じていろいろな形に変化させることができます。子ども達には、成長・育成段階に応じたサッカーを提供するべきです。
 今日の社会におけるスポーツの役割は、大きなものになってきています。学校・家庭での教育力の低下、子どもに対するコミュニティーの役割の変化等、子ども達を取り巻く環境は、必ずしも理想的なことばかりではありません。そこで、スポーツを通し、子ども達に良い刺激を与えることで、子ども達の成長に良い影響を与えることができます。特に、低年齢期(4〜5歳から12歳、思春期まで)から良いスポーツ環境を提供することで、現代の子ども達から奪われてしまった環境を取り戻すことができると考えます。
 スポーツ本来が持つ教育的な部分は、まさに現代の社会に欠けているものに他なりません。判断、自己責任、社会性、規律、モラル、フェアプレー等、サッカーにおいては、これらのことがなければ、サッカー自体を楽しむことができません。また、すばらしい選手になろうと思うなら、なくてはならないものなのです。日本の教育を変えるというような、大上段に構えて言うつもりはありません。しかし、サッカー環境を変えていくことで、2002年、多くの子ども達がサッカーの扉を開いてくれたこのチャンスを逃すことなく、日本の多くの子ども達に、スポーツ、サッカーを楽しんでもらい、心身の健やかな発育・発達に貢献できればと思っております。